玄関を開けると、ヒヤシンスの花の香りがした。
リビングに入ると更に香りが強くなった。
「芳香剤は無いし? 花も飾って無いな?」
よく見ると、幸福の木から香ってくる。
少し前からつぼみを付けていたが、それが開花して良い香りを放っている。
この幸福の木は、妻と結婚したばかりの頃、会社の飲み会帰りに、駅の花屋で買って来た。
当時は30センチ程の背丈で、ローチェストの上にチョコンと置かれた姿が可愛かった。
やがて、長男が誕生、そして二男が誕生して、今のマンションに引っ越した時には90センチ位に成長したので、大きな鉢に植え替えてあげた。
時は流れ、子供たちは家庭をもつまでに成長した。
そして、幸福の木は天井に届く程まで成長し1本の枝先に
”幸せの白い花”をたくさん咲かせた。