今週のお題「赤いもの」
太陽が西に傾き、見つめる唐辛子浮きがシルエットになり見ずらくなってきた。
学校を終わって、急いで自転車を飛ばして来たのに、一度も当たりが無い。
これが最後、と言い聞かせたのは何度目だろう・・・
釣り針に餌の赤虫を付けなおし、「本当にこれが最後」と独り言を言いながら仕掛けを振り込む。
緩い流れに唐辛子浮きがなじみ、底付近を餌が流れ始めると、チョンチョンと小刻みな当たりが!
竿を立てると、ブルブルと生命感のある手ごたえが伝わってきた。
10センチもない小さなキンブナだ。
「きれいだ!」
すっかり傾いた太陽は西の空を赤く染め、鮒の鱗を金色に光らせた。
一匹釣れたことに満足し、自転車で帰り道を急ぐと、まん丸なお月様が追いかけてきた。
家に帰ると「こんな暗くなるまで何していた!」と父のカミナリが。
子供の頃は釣りばかりしていたな。
赤い夕焼けの想い出。